おそろし

おそろし 三島屋変調百物語事始

おそろし 三島屋変調百物語事始

宮部さんの隙のない安定した文章は、個人的に打ってよし守ってよしの三割バッターを連想してしまう。特に江戸を舞台にしたものは描写が鮮明でリアルに伝わってくるので、ときどきそのストーリーに浸りたくなってすごく読みたくなることがある。内容的には夏にぴったりの怖い話なんだけど、そこはさすがに宮部さんらしくストーリーに人の情や感情の機微なんかがうまく絡められていて、物語としてもぐっと読み応えがあった。こういうのを読むと、現代よりも昔の人の方が感情が豊かだったんじゃないかという気がしてくる。続編もあるようで、そっちも読んでみたい。