クラッシュ

クラッシュ [DVD]

クラッシュ [DVD]

すごくよかった。登場人物がたくさんいて、各々がどこかで繋がっているという群像劇映画はいろいろあったけど、この作品はそこに人種差別という、人間が生きていくうえで無視できない問題がキーになって様々なドラマを引き起こしていく。
アメリカという国には自分が想像していた黒人と白人といった単純な分け方じゃなくて、ヒスパニックやメキシコ系、ペルシャ系など本当に様々な人たちがいる。もちろん差別はいけないことだとみんなわかっているけど、やっぱり人間ってそんなに簡単にいかない。ましてや一民族しかいない日本に暮らす自分が、多民族国家で生活することの辛さや難しさを語る資格なんてあるわけがない。
だから劇中でサンドラ・ブロック演じるジーンが、階段から落ちた自分を助けてくれたお手伝いさんを抱きしめるシーンには、観ていてもどかしさや歯痒さを感じていた自分にすごく響くものがあって、恥ずかしながら号泣してしまった。きっとこの人こそ『差別はよくないこと』を知っている。だけどどうしても割り切れなくて罪悪感に苛立ってしまい、結局はヒスパニック系のお手伝いさんの優しさに救われて、やっぱり人間はひとりじゃ生きられないことを知る。冒頭のドン・チードル演じるグラハムの言葉が本当に重い。
ほとんどの登場人物にハッピーエンドが待っていてどれも素晴らしいんだけど、何人かはそんなに甘くない結末になるのがまた憎いなあ、なんてことも思いました。いやー、いい脚本っすよ。