とりあえず力まずに

今月で結婚一周年になる友人から電話がかかってきた。そろそろ子どもも生まれるらしく、奥さんもあまり外出できずにイライラしているから当り散らされて大変、とのこと。もうすぐ入籍する予定と聞いている共通の友人と最近ちょっと揉めているらしく、何故か自分が間に立つことになってしまい、その場でそのもうひとりの友人に電話する。説得したり宥めたりして「あいつはこう考えている」とか「確かにその通り」とか、持ちうる限りの言葉をフル動員して、ちょうどいい落としどころに向かうようになんとか取り繕った。
とにかく完全にこなそうと考えるのはまず止めとこう、と決めたのは、そんなに昔のことじゃなかったと思う。すぐに肩に力が入ってしまう性格の自分にとって、珍しく自力で導きだした自分に合った数少ない処世術。
それと同じように「あきらめる」とか「折り合いをつける」「妥協」、そういう類のものは案外悪くないかもなあ、と思うようになった。もちろんそれは時と場合、使いようにもよるけど、それによって多少なりとも余裕ができて、固い表情で歩いている人間がなんとなく頬の筋肉を緩めることができるなら、それなりにオーケーだと思ったりする。