さぶ

さぶ (時代小説文庫)

さぶ (時代小説文庫)

物語は題名のさぶと呼ばれる人物ではなく、主にその親友である栄二を中心に進んでいく。男前ですばしっこく、これまでそれなりにうまくやってきた栄二は、濡れ衣を着せられることによって大きな挫折を味わうが、さぶや周りのひとの働きかけによって次第に立ち直り成長していく。そして最後まで栄二に寄り添おうとするさぶの姿はまさしく理想の親友といえる。ここに著者の書きたかったものがあって、本書の題名がこうなった意味があるんだろうなと思った。結末については賛否両論あるみたいだけど、あれはいわゆる栄二の最終確認みたいなものなんだろうなあ。