ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド [DVD]

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド [DVD]

冒頭から不安を煽るような不協和音のBGMにハッとさせられる。サクサクと劇中の時間が経過していく独特の進行具合も、緊張感あふれる画面も、観ていて並の映画じゃないなあ、と思ってしまう。
主人公のダニエルは、自分のことを競争心が強いが他人の醜い部分がすぐ目についてしまうと言う。だからいずれは他人と関わらずに暮らしたいと考えているけど、やっぱり1人きりでは寂しい。その気持ちは息子を溺愛する様子や、突然現れた弟が他人だとわかったときの変わりようですごくわかった。だからラスト近くで息子と決別するあたりは観ていてすごく悲しい気持ちになった。考えてみればダニエルは『人間』というものがすごく煮詰められてできた人物なんじゃないだろうか。
最後のシーンで広がっていく妙にどす黒い血は何度も劇中にあらわれる石油みたいだった。きっとこれもこの映画の題名にかかっているんだろうな。
そういえば神父を演じていたポール・ダノは、偶然この前に観た「リトル・ミス・サンシャイン」でお兄さん役をしていた役者さんでした。なんだか売れかけてる?