荒野へ

荒野へ (集英社文庫)

荒野へ (集英社文庫)

ショーン・ペンが映画化するため、主人公の両親の許可を得るのに10年待ったという逸話を聞いたことが記憶に残っていて、書店で見かけて即購入した。なかなか時間がとれなくてチョコチョコと少しずつ読んだ。
ノンフィクションという難しいジャンルなのに、主人公であるクリス・マッカンドレスに過剰に入れ込むことなく、かといって第三者に徹し過ぎずにバランスのとれた視点で書かれていることにとても感心させられた。
内なる衝動に従って、答えを探し求めて放浪を続けた青年。行き着いた先は荒野での孤独な死だったけど、もし、予備知識もないままにタイムリーにこのニュースを聞いていたら、果たして自分は彼のことをどう思っていただろう。否定的な意見の人たちと一緒になって、馬鹿だなあ、なんて言っているのかなあ。それとも、自分を貫いた青年に対してちょっと焦りのようなものを感じたり、憧れや後悔で胸が苦しくなったりするだろうか。そして読後、なんとなく自分の現状について考えてしまった。
映画も評判がいいみたい。ダイジェスト版をテレビで観たけど、映像が本当に素晴らしかったなあ。