夏の終わりの『告白』

8月も今日で終わりだということに気づいて、何かやり残した気分になっていろいろ考えた末に映画を観ることにした。なんだか思い出作りみたいな動機で観た『告白』なわけだけど、すごくよくできた作品でちょっと得をした気分になる。
復讐劇だから後味はよくないものの、こんなふうに突き抜けるとは想像もしていなかったからいい意味で驚いた。たいていの場合「こんなこと誰も望んでいないよ」みたいな感じで落ち着いてしまうパターンが多いのに、この作品はその真逆を見事に突き進んでいる。『超映画批評』にも書いてあったように、確かに観終わった後に “黒い爽快感”がしっかりと残る。松たか子が主演というのも大きかった。誰もが口コミで挙げているあの雨の中で嗚咽するシーンには、ああこのひと女優なんだな、と素直に感動させられる。
上映終了後、隣の席では上品そうな二人の老婦人が呆けた表情でシートに座っていた。俺も驚いたけど別に今の中学生がみんなあんなわけじゃないですからね、と声をかけてあげたかったけど、よく考えれば自分だってもう学校なんて空間を離れて十年以上になるし、気休めにもならないのでそのまま帰ることにした。作品は作品と割り切ってくれることを祈ります。