職人気質の血筋

涼しくなって、出かけやすい季節が近づいてくる気配に背中を押されて、ずうっと放りっぱなしだった自転車を手入れする。半年以上乗ってなかったから、当然前後のタイヤの空気が抜けてペチャンコになっていた。空気入れで膨らませて、着替えてもう一度駐輪場へ戻ってみたら、すでに後輪の空気がほとんど抜けてプヨプヨ。
仕方がないので、自転車屋へ持っていって見てもらうと「チューブを交換するしかない」と言われる。お願いすると、すぐできるということだったので、特に急ぐ用事もないしそのまま店内で待つ。パパッと素早くボルトを外し、チューブを外すおじさんの手際の良い手つきを見ていたら、ふと植木職人だった祖父のことを思い出した。
小学校の頃はお駄賃や行った先で出されるおやつを目当てに祖父にくっついてまわっていたけど、伸びた葉を刈りそろえたり、樹木を植え直す仕事を見るのがだんだん楽しくなって、授業が終わると祖父と一緒にいることが多かった。そういえばあの頃は植木屋になろうかなあ、なんて頭の片隅で思っていた。父も自営業で職人のようなものだし、うちの家系はひとりでコツコツやることが好きな傾向にあるみたい。
空気を入れ直した自転車の乗り心地は爽快。やっぱり確実に涼しくなっている。